リハビリテーションと人材育成って似てると思う。~モチベーションって大事だよね~

インフィックグループの香田です。

私自身、現在はリハビリテーション専門職としての働き方でなくマネジメント職としての働き方をしていますが、マネジメント業務を行っている中で、リハビリテーションと人材育成というのは「本当に似ているな~」と思っています。

そんな訳で、今回のテーマは、

『リハビリテーションと人材育成』

でございます。


さて、皆さんはお客様にリハビリテーションを実施する際に一番心掛けている事は何でしょうか?


お客様の『モチベーション』を上げていく事


私はここが重要であると考えております。

ではモチベーションとは一体何なのか?ここで一度整理しておきます。


——— 【 モチベーション 】 ———

●刺激やヤル気
●動機付け

⇒人が行動を起こす際の要因や目的などを『動機付け』という点に着目してコミュニケーションをとる事で、対象者の行動変容を促すキッカケとなる。

①内的動機付け・・・個人的、内面的な価値観の事を指していて、やりがいやスキルアップ、達成感等が影響してモチベーションを変動させるもの。

②外的動機付け・・・社会的、経済的報酬の事を指していて、主に給与やインセンティブ、昇進や昇格が影響してモチベーションを変動させるもの。


対象者のモチベーションを上げる為にはそれぞれの構成要素をしっかりと理解しておく必要があります。

特に、内的動機付けが最初のモチベーション変動に大きく影響する、と言われており、対象者のモチベーションを上げる為には『やりがいや成長、達成感』を感じて頂くようなアプローチが重要、という事になります。

こうしたキッカケ作りが『人を育てる』事にも通じるものがある、という事を私は日々感じている訳でございます。


【 一口メモ 】

モチベーションは単に「刺激・ヤル気」という意味だけの言葉ではなく、より深い部分で自分や相手の行動を変える『動機付け』の意味を持つことを、きちんと整理しておきたいですね。


続いてはこちらです。

皆さんご存知、マズローの5段階要求説になります。

人間の欲求は「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求(尊厳欲求)」「自己実現欲求」とピラミッド形式に積み重なり、1つの欲求を満たせば次の欲求を望むとされています。

この5段階要求説はモチベーションに関わる代表的な理論としても位置付けられていて、

内的動機付けに関係性が深いのは承認欲求(尊厳欲求)と自己実現要求です。


——— 【承認欲求】 ———

承認欲求は、組織の中で自身が「認められている・評価されている」といった感情によって満たされる。

例えば、リハビリテーションにおいてはお客様が家族の一員として、人材育成においては職員さんが組織の一員として、自分の存在意義を周りから「見てもらえている・理解してもらえている」という事をお客様や職員さん自身の中で感じ求める事。

逆に、「自分は本当に役に立っているのか?周りに迷惑をかけているのではないか?」と考えることで承認欲求は満たされず、モチベーションアップには繋がらない。


我々リハビリテーション専門職における「評価」は、単に身体機能や生活レベルのことを指すだけではなく、対象者の承認欲求を満たす『動機付け』でもあり、そのアシストアプローチをしていくことが、特に在宅ケアにおいては重要であると考えられます。


——— 【自己実現欲求】 ———

『自己効力感を高める』ことが重要。

心理学者のアルバートバンデューラさんが提唱している理論概念の一つ。

モチベーションのメカニズムの中で『行動変容』の際に必要とされる要素。

「自分にだったらできる!」という自分の能力に自信を持っていける感覚がある事で初めて人は行動を変化させることができる。

困難時「いつかできる」と考えられるようになり、目標のための行動や努力を続ける力も強くなる。

成果も創出しやすく、自己効力感がさらに高まる。


このように、自己効力感が高いと成果創出への好サイクルが回り始めるので、組織の成果創出のためにも個人の成長のためにも、自己効力感を高めることは重要であるという事が理解できるのではないでしょうか?

では、どうすれば自己効力感を高める事ができるのか、少しまとめてみます。


『自己効力感を高めるアクション』

一つ、達成経験
二つ、代理体験
三つ、言語的説得
四つ、生理的情緒的喚起


達成経験は成功体験のこと。

自分自身の力でやり遂げた、という成功体験を積むことが何より自己効力感に影響する。(自信を深める一番の特効薬!)

度重なる失敗は「この課題は自分の手に負えない」と、自己効力感の低下を招き、その後別の課題に対するチャレンジへのモチベーションも低下させてしまうので注意。

小さな成功体験を重ねながら前進する『スモールステップの原理』も活用。


代理体験は他者の行動を観察し、あたかも自分がそれをやっているようにイメージすること。

観察→イメージというプロセスを踏むことで、「これなら自分にもできそう」と感じ取り、自己効力感を高めることができる。

人の動きを観察する⇒自身の頭の中でイメージとして組み立てる⇒「こうやって対応すれば良いんだな!」⇒行動習熟を加速⇒代理的体験、といった具合。


【 一口メモ 】

振り返りやフィードバックがなぜ重要なのかというと、この代理体験を経て自己効力感を高める事ができるから、という事なのですね。


言語的説得は「説得する」「ほめる」「励ます」といった、組織の仲間(家族や知人、同僚や上司)らの言葉のこと。

行動に移す際に不安があっても、「こうすればできるよ」という丁寧な説明や 「○○さんなら大丈夫だよ!」と背中を押す言葉をかけてもらうことで、自分自身の中でも「自分にならできるはず」という認知が形成されて自己効力感に繋がる。

言語的説得は批判を受ければ落ち込んでしまい、自己効力感が低下してしまうこともあるため、言語的説得だけに頼らず、説明と助言もセットで!


生理的情緒的喚起は行動中に自分の内部に生じた生理的状態を意識することが、自信や意欲の向上に繋がること。

本番前に心臓がドクドク波打つのを意識すれば、不安感が高まり自信が低下しますが、それほどのドキドキがなければ、いつもと変わらない自分がいるという意識がはっきりして、行動への自信が生まれる場合がある、ということ。

他にも、好きな音楽を聴くことで緊張が和らいだり気分が高揚したりする時や、体調が良いことを自覚している時は「今なら自分にもできるような気がする」といった感情が生まれた経験は皆さんにもあると思います。


【 一口メモ 】

達成経験・代理的体験・言語的説得・生理的情緒的喚起の順番で自己効力感に対する影響力が高いそうです。


とまぁ~長ったらしく書き記してしまいましたが、冒頭に述べた通り、

『リハビリテーションと人材育成』の共通ワードは『モチベーション』であり、『モチベーションを上げる事』が大事だと私は思っています。

こうして想起してみると、リハビリテーションは『人材育成(人を育てる)』にも通じているのが何となく理解できるのではないでしょうか?

この当たり前のような事が意外と大切であり、意外とできていなかったりする事でもあるので、日々お客様の成長に関わる仕事をしている我々リハビリテーション専門職は、人材育成に関しても強い力を発揮できるんだろうな~という事を私は感じている訳でございます。

この『人を育てる力』は『評価する力』という風に捉えても差し支えないでしょうから、この評価する力を地域社会に広げていけると我々の活躍の幅はもっともっと広がるんじゃないかな~なんて思ったりもしています。


最後までお読みいただき、どうもお疲れ様でした(笑)


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