患者-医療者間の関係性と情報のやり取り
寒さ厳しき季節ですが、皆様お元気でしょうか。おもて循環器科の小野です。
1月も半分が過ぎ、ようやくお正月気分が抜けてきた頃かと思います。
私はといえば、本当にダラダラと過ごしていましたので未だにボケボケとしていますが、本年もどうぞ宜しくお願い致します。
さて、新年最初のブログは、新年の抱負も兼ねて『患者-医療者間の関係性と情報のやり取り』について考えてみたいと思います。
(“患者”≒介護保険における“対象者”としてお読み下さい)
患者-医療者関係のコミュニケーションは、以前は「先生にお任せします」という言葉が表す①父権主義の関係のイメージが多かったと思います。
しかし現在ではそれだけではなく、医療者が患者の自助を助けて、患者が同僚のように参与する②相互参加の関係、患者が方針を決定し、医療者には相談がされず、医療者はあくまで必要に応じて技術的な相談役として存在する③消費者主義の関係、患者-医療者関係のコミュニケーションを上手く図ることができず、医療者と患者の役割が不明瞭で目標も不明確な関係性となる④機能停止の関係の4つの関係性が存在しています。
時代とともに患者の権利意識が高まることで①父権主義の関係が減り、慢性疾患が増加することにより医療の選択肢が絶対的ではなくなってきたことで、医療者と患者が情報や意思決定の共有が重視されてきました。
そうした社会的潮流により、特に②相互参加の関係や③消費者主義の関係が増えてきているのではないでしょうか。
私は対象者との人間関係は良好なのに、対象者にとって有益な医療情報を伝達できなかったことにより、対象者と設定した目標を達成できなかった経験を数多くしてきました。
そこで、②の相互参加の関係性を高めるためには、医療情報の提供の質・量ともに不足していると感じています。
例えば、
●処方されている薬を何のために飲んでいるか分からない
●自主トレ―ニングのメニュー表が活用されていない
●パンフレットを読んだのは一度きりしかない
このような事象は生活場面での“あるある”ですが、その原因は対象者にあるのでしょうか?
それとも、我々医療者にあるのでしょうか?
少なくとも、我々医療者にやれることはあるはずです。
我々訪問リハビリテーションに従事する医療者はご自宅に訪問することで生活場面に直接介入することができる非常に稀な医療者です。
訪問毎の言語コミュニケーションだけではなく、書面での情報を使って対象者のインアウトプットを高めるコミュニケーションの仕掛けを作ることができると思います。
例えば、
○お薬手帳・説明書等の活用
○自主トレ表のフォント調整・図や写真等の利活用
○理解度に合った日頃からの復習・伝達
○目に付きやすい場所(キッチンやダイニングなど)へのポスター掲示
なども関係性が築けていれば十分に可能で、配慮すべき点はまだあるはずです。
今年は自宅に訪問しているからこそできる『患者-医療者間の関係性と情報のやり取り』について焦点を当てていき、相互参加の関係性を高めていきたいと考えています。
そして、対象者にとって有益な医療情報の提供にコミットしていきたいと思います。
最後までお読み頂き有難うございました。
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