人生に彩りを加える『おいしい』
こんにちは、言語聴覚士の佐々木です。
私からは言語聴覚士(Speech Therapist:ST)について、少しお話しようと思います。
「おいしいなぁ」
妻が用意したはちみつ入りのヨーグルトを自分のお部屋で食べた時に溢れ出た言葉。
この瞬間に立ち会えた時、私は訪問のSTをしていて幸せだなぁと感じます。
『おいしい』
僅か4文字の言葉でありながら、偽りや忖度のない形で引き出すのは非常に難しいのです。
それには〈誰と・どこで・何を・どんな風に〉という4つの条件が揃う必要があるからです。
在宅の現場には、夫や妻・息子や娘などの家族的要因と住み慣れた家などの環境的要因に想像されるように、〈誰と・どこで〉が既に整っている場合があります。
そのため、残りの〈何を・どんな風に〉への関わりを持つことが専門職の役割として重要だと思っています。
例えば、食べ物の種類や形状などの物的要因と嚥下や咀嚼などの機能的要因をSTが専門的観点から評価し、ご家族等が準備出来る〈何を〉を相談しながら考えます。
こうした各要因を総合的に鑑みて、主治医や看護師、PTやOTと協働しながら〈どんな風に〉アプローチしていくか試行錯誤していきます。
このように、多職種協働のもと、各々が役割を果たしてその方の『おいしい』が引き出せた時には、みんなが笑顔になるのです。
ところが、必ずしもそうなる訳ではありません。
〈何を・どんな風に〉という2つの条件を揃えるためには、その方に関わるみんなが同じ方向を向いていないと成り立たないのです。
これは簡単なようで難しかったりします。
臨床場面では時に、食べる事で起こりうるリスクへのマネジメントを重視するが故に、思うようにリハビリが進められず、現状維持に重きを置くこともあります。
それでも関わりを持つ中で、その方の「食べたい」やご家族の「食べさせたい」という想いに気付いた時には、どうすれば起こりうるリスクを回避・軽減しながらNeedsに応じることが出来るのか、総合的に評価し、多職種連携を通じて働きかけるのもSTの役割なのかもしれません。
STが関わることで、人生に彩りが加わる方が一人でも多くなるといいなと思っています。
まだまだ、絶対数も少なく認知度も低いSTですが、この語reha”には数名のSTがおり、STへの理解を深めてくれる仲間もいます。
きっと良い出会いに恵まれると思いますので、いつでも扉を開けてお待ちしています。
「おいしいなぁ」
そんな声を家族と同じ空間で聞くことの出来るこの仕事が、私は大好きです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
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