第7回駿河支部連絡会での学び
かたりば編集長の北井です。
先日開催された公益社団法人静岡県理学療法士会の地区事業の位置付けとして行われている駿河支部連絡会に参加しました。
当連絡会は日頃から「顔の見える関係作り」を重視しているため対面で行っていましたが、今回は感染対策の観点から初のオンライン開催となりました。
今回は、静岡済生会療育センター令和の板倉様から新型コロナウイルスのクラスター対応について、一般社団法人静岡市ケアマネット協会会長の間瀬様を交えてグループワークにてケアマネジャー(以下、CM)との連携について等、盛沢山の内容となっていました。
ちなみに、かたりばメンバーはスタッフとしての参加も含めて8名参加していました。
コロナ対応の話では、実際にクラスターが発生した際の状況やスタッフの対応等についてリアルなお話を伺うことが出来ました。
外来中止・面会制限・ゾーニング・環境整備・検査体制構築など、刻々と変化する状況への苦悩やセラピストとしてある種“専門外”の勤務体制(当直など)を経験しながら、病棟業務や入院児童の生活支援などを行っていたそうです。
児童における感染対策の限界・PCR陰性後の翌日陽性や感染症状によるマンパワーの減少・親御さんへの対応など、限られた医療リソースの中で非常にsensitiveな業務の連続だったことを想像すると、頭の下がる思いです。
特に、肢体不自由等を抱える我が子を預ける親御さんの不安や親と会えない子供の心理的ストレスが顕在化していたことは想像に難くありません。
更には、新型コロナウイルスに関する情報が社会全体に錯綜し、一人一人のリテラシーに多くの差異が生じることで、病院に対する心無い声があったことも事実です。
現在、デルタ株への置き換わりにより感染者や自宅療養者が急増している静岡市ですが、逼迫した医療キャパシティーの中で医療介護サービスを提供する人間への想像と理解を深め、自分で出来る感染対策を履行しつつ、医療リソースの拡充や感染及び重症化の防止が益々図られることを願うばかりです。
一方、グループワークでは、「CMとの連携強化に必要なこと」や「セラピスト同士の施設間連絡に際したCMの関わり」について、具体事例を想起しながら意見交換を行いました。
各グループで出されたコメントをまとめると…
●患者主体の話にどう持っていくかが肝要で、既存情報シートでは表面化されにくい「患者本人が大事にしていること」を共有することが重要
●MCSやシズケアかけはしを通じて関わりを持つことも手段の一つ
●本人・家族・コメディカル間の意思共有とケアマネジメントのベクトルが異なる場合、適切なサービスを受けられているのか検討が必要
●退院前にセラピストとCMがコンタクトを取ることで、福祉用具導入がスピーディーに可能でコアな話もしやすくなる
●リハ会議を通じてお互いの顔を合わせることで連絡を取りやすくなるため、対面・オンライン問わず関係性構築は重要
●FAXやメールでは情報のラグが生じたり相手の雰囲気が分かりづらかったりすることで、結果的に利用者に不利益を生むことがあるため、「顔の見える関係」を構築することも必要
●些細な情報も含めて「相手が欲しい情報は何か」という視点を持つことも大切
●リモートの積極的導入・動画の共有・ポケットWi-Fiの常備など、利便性の高いツールやアイディアを活用することも必要
こんな感じでした。
上記について間瀬様から、CM自身も利用者の言葉をremindするだけではなく解釈や考え方で修正していくことは必要で、セラピストの参加率が上がっている担当者会議やMCS等のツール、在宅でのACPも含めてお互いに情報共有していくことが重要であることをお話いただきました。
さて、セラピストとCMの連携という課題へ臨むにあたり、利用者主体で話を展開することが大前提であり、その基盤となるのは『お互いの関係性』だろうと強く思うところです。
お互いの専門性に裏付けされたphilosophyの違いやpersonalへの確信が持てないことで生じる情報のすれ違いは、巡り巡って利用者さんの不利益に繋がることも起こり得ます。
前述した感染状況を鑑みれば、社会的に利用頻度の急激な高まりを見せているオンラインツールを積極的に活用する必要性は最早マストと言えるかもしれません。
お互いの性質に合うツールを利活用し、内在する自己的なバイアスと闘いながら相互的な対話の繰り返しで強まる繋がりがあるとするならば、CMとの関係性に限局されることなく同じことが臨床場面にも転用されるはずで、その結果利用者さんに芽生える安心感も繋がり合った多職種に湧き上がる充実感も大きなものになると思います。
日々の業務や時間に追われることで流されがちになる“細やかな繋がり”は、その積み重ねによってお互いの信頼関係を“確かな繋がり”にグレードアップさせるのだと改めて想起した次第です。
良き学びとなった駿河支部連絡会でした!
次回開催が楽しみですね。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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